4/11
前へ
/242ページ
次へ
それから二年。アルバイトで入った私は、いつの間にか社員になっていた。 ていうか元々従業員が三人しかいなかった。 喫茶店の店長……間違えた。マスターの、八雲 充(やくも みちる)さん。体格のいい男性で、顔が喫茶店のマスターとは思えないくらい、いかつい。きっとラーメン屋で大きな寸胴に入った豚骨のスープを混ぜてる方が似合いそうだと、面接の第一印象で思った。 そのマスター、間違えた店長の奥さん、菫(すみれ)さん。店長とは真逆のタイプで、線の細い小さくて可愛らしい印象の女性。店長より10歳年下だそうで、私と年齢が近い事からすぐに意気投合した。 最後に、昼のパートの、ふゆさん。"冬"さんと呼ぶと怒られる。ポイントは"ふ"にアクセントを置いて発音する事。元気なおばちゃんで、この喫茶店が居酒屋なら"母ちゃん"と呼ばれていそうな感じ。 この三人の店で私は、楽しく忙しく働いている。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加