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水が流れる音で店内の様子が伺いにくい。そんな時、店長が「ゴミ、捨ててくるね」と裏口から出て行った。うなずいた私は給湯器のお湯を止め、ふぅ。と一息ついた時。
「ねぇーちゃんよぉ、酒、ねぇのかよぉ!」
そんな大声が店内、カウンターの中にまで響いてきた。すぐにヤバイと思ったけど、ホールに飛び出すか店長を呼びに行くか躊躇してしまった私の足が動きを止めてしまう。
「申し訳ありません、当店はアルコールの扱いをしていないんです」
そこにはっきりとお断りを告げる夏海ちゃんの声が聞こえた。それがきっかけで私の足が動く。同時にガタンッ!と大きな音を立てて、お客様が座っていた椅子が倒れた。
「ぁあっ!?ねぇだとぉ?ねぇってこたぁねぇだろうがよぉ!!」
「申し訳ございません、お客様」
テーブルに両手をついて夏海ちゃんへ怒鳴り散らすお客様。私はその間に入った。
「お酒でしたらすぐ近くに居酒屋さんがありますので、そちらはいかがでしょう?」
「ぁああぁ?」
遠目から見た感じではほろ酔いくらいに見えていたけど、実際はかなりのアルコールをすでに召し上がっていたようだ。
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