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会計を店長に任せた私はカウンターの中に入ってグラスに水を注ぎ、夏海ちゃんに渡した。
「少し休んでいいよ。そろそろお客さんもみんな帰りそうだし」
「ありがとうございます。……遥さん、助けに来てくれてありがとうございました。わたし一人じゃ、なにも出来なかったです」
冷たいグラスを両手にうつむく夏海ちゃんに、私は微笑んでみせる。
「お礼は店長に言ってね?私はなにもしてないよ?でも、気になるお客さんがいたらすぐに教えてくれると助かるかな。そしたら今みたいな時は店長にホール任せるし」
男手が店長しかいないっていうのは、やっぱり少し無理があるのかな、とこぼすと、夏見ちゃんがパッと顔をあげた。そして不思議そうに首をかしげる。
「あれ、店長から聞いてないんですか?」
「なにを?」
「わたしと一緒にもう一人バイト入ってるんですよ」
え、なにそれ、聞いてない。
「あ、男子です」
道行く女の子に声かけたなんて言うから店長に"犯罪です"なんて言っちゃったけど、まさか男の子にも声をかけてたなんて……。
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