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詳しく話を聞きたいけど早く帰りたくもあるので結局、手を動かしながら口も動かすという時間短縮な方法を取る事になった。 「いやぁ、浅岡さんに声をかけたらね?そこにその子もいてさ」 「一緒に出かけてたんですよぉ」 調理器具を片付けていく店長に、テーブルを拭いていた夏海ちゃんが補足する。私は店長がさげてきた看板の雪を払い、書いてある内容を消していく。 「ていう事は一緒の学校なの?」 「はいっ!」 タオルを洗って、カウンターテーブルを拭きだす夏海ちゃん。「椅子も頼むねー」と店長に言われて慌ててもう一枚タオルを取りに行った。 「なんで言ってくれないんですか、店長?」 「ごめんごめん。忙しかったし、遥ちゃんも大変だったでしょ?年明けてからでもいいかなぁなんて思ってたんだよ」 「そしたら今日みたく、突然一緒に働く事になるじゃないですか!」 調理場の明かりを消した店長がホールに出てきた。 別に怒ってる訳じゃない。内緒にされたから、とかそんな子どもっぽい理由じゃない。 ただ、ここは、私にとって大切な場所だから。大事な事はちゃんと知っていたかった。
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