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はがきに目を落として「聞かれてたか」と呟く。ひとりでいるせいか、なんでも声に出して読んでしまう癖が付いてしまっているようだ。 「じゃあ、年賀状でも買いに行くかぁ……」 綺麗に雪かきされた後のスペースを悠々と歩きながら階段をのぼっていった。 郵便局に着いてから、年末年始は郵便局もお休みなんだって事を思い出した私は、晴れ渡った青空を見上げて「ははっ」と笑いを白くした。 行きつけのスーパーに行って、はがきを買う。今年の干支って馬だったんだ、なんて思いながらなるべく可愛いのを選んだ。それからちょっとだけアルコールと、つまみ代わりのお菓子を買う。鏡餅すらない正月だけどしかたない。 帰宅してからは簡単に大掃除。そして両親に宛てた年賀状を書き、明日出そうと見えるところに置いておく。 timeに行かないと時間を持て余してしまって、ひま。 timeで働いていないと感情を隠していられなくて、苦しい。 timeで笑っていないと笑顔を忘れてしまいそうで、怖い。 亜紀。今、亜紀に会いにいけるなら、私の笑顔は永遠だろうな。 一人ぼっちの部屋の中で、目尻を擦った。
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