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年が明けた。
新しい年が来て、朝日がそれを祝福するみたいに街を照らしていく。
冷たい風の隙間を縫うような冬の太陽の熱に、背中を暖められながら日課のポストを覗く。
元旦、三が日が終わって、そろそろいつもの日常が戻りつつあるこの頃。私は少し早い時間にアパートを出発して出かけるところだった。
興味のないダイレクトメールをポストに戻していると、ちょうどこの間の雪かきの男性、新野(にいの)君が出てきた。
「はよっス、遥サン」
「おはよう、あけましておめでとうー」
お日様が出たばかりで、肌寒い空気の中。新野君はこの間と違って、しっかりと上着を着ていた。いつものスウェットでもなく、きちんとスーツを着てるのかな?
「お洒落して、どこ行くの?」
「遥サンをデートのお誘いに」
年明け早々から冗談をふっかけてくる新野君に微笑んでから「今日は先約があります、そしてその後は仕事」と言うと「知ってます」と返された。
「これからちょっと実家に行ってきまス」
「お正月に行かなかったの?」
「正月だったから行かなかったんス」
よく分からないけど、あまり詮索しない事にしよう。
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