出逢い

1/9
76人が本棚に入れています
本棚に追加
/325ページ

出逢い

「…っん!」 陽春5月 朝日は目が痛くなる程に眩しい 毎年この季節になると、目覚まし時計は全く無用になる わざと白のレースカーテンにして、お日さまに起こしてもらう♪ 今日もこうして、お日さまに起こしてもらったけど、今日はあたしを起こしたのは、お日さまだけではない! なんだか外が騒がしい 眠い目を擦ってベランダに出て、騒がしいものの正体を突き止める ここは、隅田川を望む20階建ての高級分譲マンション その10階に住んでいるから、目覚めたばかりで、マンションの下を見下ろすのは、ちょっと立ちくらみがする でも、強い陽射しと陽春の温もりに抱かれて、胸いっぱいに心地よい空気を吸い込んで、背伸びすると、わずかに残っていた眠気もいつしか完全にぶっ飛んでいた♪ 少し落ち着くと改めてマンションの下を覗き込む 道路の横に、引っ越し業者の4tのトラックが2台、横付けしていて、そこから数人の作業員が忙しく搬入作業に汗をかいている (誰かが引っ越して来たのかしら!) そう思いながらも、あまり気にかける事なく、顔を洗おうと、部屋に戻ろうとしたら、お隣が騒がしいのにやっと気づいた そうか! どんな人かしら! とても気になるけど、長い付き合いになりそうだし… さて、顔洗おうと♪ 少し遅めの朝食─いや、もうブランチと言った方が良い─を済まして、いつものようにショッピングに出かける ドアを開けると、廊下を引っ越し業者の作業員達が忙しなく動き、行き来している
/325ページ

最初のコメントを投稿しよう!