- 第一話 - 『プロローグ』

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- 第一話 - 『プロローグ』

『触らぬ神に祟りなし       けれど触りたがるのが人間』 ありふれた日々、少し田舎なこの街では 普通に学生たちが学校へ通い、社会人と一部の学生が働き、様々な人がおり、時を刻んでいる。 しかし 奇妙な事 というのは案外周りにあるものである。 それを求める心が 好奇心 と呼ばれるものなのかもしれない。 そしてある高校に通う一人の不良高校生もまた、暇を持て余し 実の父の書斎へと静かに足を踏み入れていた。 「うわ、本当に気持ちわりぃ部屋だな」 彼の名前は『池上 涼』どこの学校にでもいる不良である。 彼の父は都会である隣街まで行き、そこで科学者として研究をしている。 その片手間、彼の父は趣味で 妖怪 などの研究を行っている。 そして暇を持て余した彼は書斎へ忍び込んでみることにしたのだ。 「現実見ろよなぁ、もっとカッコいい親父が欲しかったわ」 などとボヤきつつも夏休みに入りやる事のない彼は部屋の中を散策し、何気なく一冊の本を本棚から抜き取った。 「なんだ、この本」 その本は他の本よりも明らかに色褪せており、古めかしく、題名も擦れてすでに読めなくなっていた。 【他のと違う】そのことが彼に興味を抱かせたのかも知れない。 そして、もしかしたら他の何かも作用していたのかもしれない。 それは人間が言う 運命 というものなのか、ただ単なる 好奇心 と呼ばれるものなのかはわからない。 「・・・」          妖怪の特徴や性格、妖怪に関する様々なことについて書かれていた。 彼は自然とその本に引き込まれていった、もとから集中力のある彼なのだが、明らかにこの時は異常なほど引き込まれていた。 そして、あるページでめくる指を止める。 「鬼・・遊び・・・」 特に目立った事があったわけではない、ただ彼の何かがその『鬼遊び』という単語の書かれたページを気に留めた。 「陣・・・鬼・・・3日の晩を過ごす・・・」 彼は本の内容を一部呟きながら注意深く、最後まで読み終えると『やってみたい』という気持ちに駆られ まるでそのページを見るためだけに本を開いたかの様に、満足して本を仕舞ってしまった。
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