39人が本棚に入れています
本棚に追加
「ただいま~。」
由希が帰ると心配性の母親がホッとした顔をした。
「遅いよ!
早くお風呂入りなさい。」
母親に言われ、由希はさっさとお風呂に入った。
気づかぬうちに身体が冷えてしまったようだ。
「ヘクチッ!やばっ。」
由希がくしゃみを三回すると山下が明日は風邪で休みだな~と言う。
それほど由希は子供の頃からすぐに風邪を引くヤワな子だった。
文枝も妙子も美由も丈夫で元気だ。
莉子なんて元気すぎる。
「風邪引かないように気をつけなきゃ!」
由希は湯船に浸かって独り言を言う。
「♪~。」
今日カラオケで歌った歌をお風呂で歌ってみる。
やっぱり音程が外れている気がする。
まぁ、いいか!
声は可愛いらしいし!?
意識的に時田のことを考えないようにしていたが、やはりどうしても今日長野から聞いた話しを思い返してしまう。
湯船の中の自分の身体を見るともなく見た。
時田は女性のすべてを知り、由希のすべてを知りたかった?
他人に男性に自分の身体を触られたり、裸を見られるなんて想像できない。
ゾッとする。
しかし、いつか結婚して子供が欲しいと思うことは、いつか誰かにすべてを許すことなのだ。
まだ知識も感情も追いつかない由希には全く想像がつかない。
そんな人に出会えるのだろうか?
自分の未来は予想できない。
今、好きだと思う橋沢と自分がキスするとか抱き合うとか想像することも出来ない。
私の好きは何の好き?
最初のコメントを投稿しよう!