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翌週、放課後順番に進路相談の個人面談があった。
南校舎の端っこの個別相談室で決められた時間に生徒が交替で出入りしている。
由希の前が時田だった。
時田が出て来たので由希は入れ替わりに相談室に入った。
やはり就職希望者はクラスに二人くらいしかいないらしく、進学の意志はないのかとしつこく確認された。
由希は経済的に無理だと説明するが、先生は奨学金の説明もする。
(そんなに進学率を上げたいのかな?)
由希は憂鬱になった。
それでも進路指導室に例年の就職の傾向の資料があるし、就職専門の進路指導の先生もいるので詳しい話しを聞いてみた方がよいと言ってくれた。
「就職は厳しいぞ。」
先生はそう言ったが、由希は自分の成績では進学だって相当厳しいだろうと思った。
個別相談室を出ると、由希はついでに進路指導室の就職のコーナーに行ってみた。
先生もいたので、この高校からの就職先はどんなところがあるか等聞いたり資料を貰ったりした。
就職希望先に寄って、取っておくと有利な、または必要な資格があるから聞きにおいでと言ってくれた。
いくつかの資料を抱えてため息をつきながら、渡り廊下の方へむかって角を曲がった。
ドキッとした。
渡り廊下の登り口に時田が壁に寄りかかって立っている。
由希は身体が緊張するのが解った。
何をしているんだろう?
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