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すると、後ろから足音がして、
「トッキー待った?」と声がした。
あれ?この声は?
由希が振り返ると長野だった。
「あ、中井さんだったんだ。
中井さんも面談終わったところ?」
長野が気さくに声をかけてくる。
「うん、そうだよ。
長野くん、この間はありがとうね。」
由希は家まで送ってもらったり等々のお礼を言った。
「中井さん、風邪ひかなかった?
山ちゃんに中井さんのくしゃみは要注意って聞いてたから心配だったよ。」
長野が心配そうに言ったが、由希は笑顔で大丈夫だよ!と答えた。
長野は良かった!とホッとしたようだ。
時田がその様子を黙って見ている。
長野がハッと気づいて、気まずそうな顔をした。
「トッキーお待たせ!
部活行こうか。
中井さん、じゃあね。」
長野が由希に手を振り時田のところへ駆け寄った。
由希もじゃあね!と手を振ったが、時田が嫌な雰囲気で立っているので思わず笑顔も引っ込んでしまった。
「ナガッチ、中井と仲良いんだな。」
時田がふいに暗い声で言ったので、長野と由希はドキッとした。
長野は普通に、
「ああ、山ちゃん達と夏休みに何度か遊んだからね。」
と、答える。
「ああ、そうだったね。」
時田は文化部の部室で自分も山下に誘われたことを思い出していたようだった
「俺も…。」
時田がつぶやいた。
「俺も?」
長野が聞き返す。
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