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「班の中の席はどうする?」 莉子が言うと、橋沢衛(はしざわまもる)が班の中の一番前に荷物を置いた。 「俺、目が悪いしここでいい?」 「じゃ、私隣りでいいや。」 莉子が橋沢の隣りに荷物を置く。 「じゃ、俺、真ん中。」 時田真(ときたまこと)が橋沢の後ろの席に座った。 「由希、私、後ろでいいかな?」 文枝がそう言った。 それで自動的に津田学(つだまなぶ)が男子の一番後ろになり、由希は女子の真ん中になった。 女子が窓際、男子が窓際から二列目。 後ろの班になったので、由希は一番窓際の前から五番目、後ろから二番目になった。 (いや~なかなか良い席に収まった!) 由希は前が元気な莉子、後ろが気の合う文枝だし、大変満足な席替えになった。 なんと言っても窓際が好きだ。 外を眺めて想いにふけるのが得意?な由希には誠に都合のよい場所だった。 クラスはまだワイワイ騒がしい。 先生は教卓に寄りかかって、生徒達が落ち着くのを待っているようだった。 クラス委員が黒板に決まったところから席順を書き出している。 前の方の班は誰が一番前に座るか揉めてくじ引きをしたりしている。 「おーい、二番目の方がよく見えるんだぞ~。」 先生があまりに揉めてケンカになりそうな班に声をかけている。 いっそ全部くじ引きなら諦めがつくのに、罪作りな先生だよと由希は思っていた。
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