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中井由希、16歳女子。 中肉中背。 まさに平均的な高校生だ、と自分では思っている。 残念ながら成績は平均を下回っているが、勉強が嫌いだから仕方がない。 レベルを落として入ったこの高校も思ったよりも進学校で、勉強熱心な子も多かった。 のんびりした校風だと聞いていたが、一部ピリピリしたガリ勉がいる。 そこを除けば確かに全体的にはのんびりした学校だった。 先生方の中ものんびりした校風を大事にしてのびのびと生徒を育てようという人達と、このままではいけないと進学校として名前を挙げようと頑張っている人達に別れているようだ。 由希の担任、伊達正之(だてまさゆきー三十代半ばー由希の想像)はどちらだかハッキリしないタイプに思われる。 日頃エラくのんびりしているかと思うと、今日のように成績について口うるさく生徒を指導する時もある。 その適当さが生徒には憎まれない先生となっているようだ。 由希にとっても今のところは可もなく不可もなくというところで、それは嫌な先生が多い中、良いと判断される先生なのかもしれない。 平均的な高校生と自分では思っている由希だったが、周りからはのんびりというかぼんやりした子だと思われている。 由希自身は自覚がないのだが、そう言われればいろんな考え事をして周りのことを気にかけないのは確かなので、そうなのかもしれないと思っている。 別に人に迷惑かける訳ではない。 ほっといてくれと思うこの頃だ。 特に時田!
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