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神社には結構な人がいて、出店もたくさんあってちょっとしたお祭りみたいだった。
「さぶいですね~」
おれらは一緒にお賽銭を投げ、祈った。
みんなが笑顔でありますように。
「出店ちょっと見ます?」
西さんが提案してきた。
「そうですね、せっかく来たんだし、甘酒くらい飲みたいな」
まるで夏祭りのような活気に溢れた中を歩くと、行き交う人たちの笑顔が照明に照らされて、それを見てるとなんだか元気が出てきて、今年も良い年になりそうな予感がしてきた。
「あ、あそこで甘酒売ってるみたいですよ」
西さんの指さす方を見ると、そこにも結構な列ができていた。
「結構並んでますね」
「でも飲むだけなんでそんなに時間かからないんじゃないですかね、西さん飲みます?」
「はい、飲みたいです」
おれらは最後尾に並んだ。
5分もしないうちに買うことができた。
「あったかい」
甘酒には生姜が入っていて、生姜の香りをが口の中に広がる。
「あたたまりますね」
「五臓六腑に沁み渡るってこういうことを言うんですかね」
二人で甘酒を飲み干し、ぶらぶらと歩く。
「この後どうしましょう」
西さんが聞いてきた。
「どうしましょうか、そろそろ帰ります?」
「そうですね、結構寒いですし、そろそろ帰りましょうか」
おれらは西さんの車に乗り込んだ。
「あー寒かった」
乗り込み言うと、
「お酒とか飲んで温まりたいですね」
「熱燗とかでくーっといきたいですね」
「飲めるんですか?」
「いや、ぼく飲んだことないんです」
西さんは驚いたようにおれを見た。
「えっ、一度も?」
「はい、飲む機会がなくて」
「じゃあうちでいっぱい飲みますか?この前かった久保田がまだ残ってるんですよ」
「え、いいんですか」
西さんはくすっと笑った。
「面白いですね、飲んだことないのに、熱燗でくーっとしたいとか」
「はは、こういう時にそう言うのかなって思って」
「ははは、そうですね、こういう時にそう感じますね」
「じゃあ飲ませていただこうかな」
「御馳走しますよ」
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