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最後の、我慢できなくて、というところで、胸が痛んだ。
おれの責任だ。
おれが西さんの気持ちに気づいていなくて(そもそも彼がそういう嗜好があることすら気づいてなかったけれども)、そのまま甘えてしまい、もたれて寝るなんてことをしてしまったからだ。
原因って、おれか。
謝るのは、おれか。
「西さん、ごめんなさい、ぼくも悪かったです」
どうしていいのかわからなくて、でもとりあえず、
「驚きました」
「そうですよね」
「急に、こんなことになってしまって、本当に、どうしていいのか」
しばらくおれらは無言が続き、沈黙が重くのしかかって身動きすらとれなかった。
時計を見ると、朝の4時になろうとしていた。
こんな時なのに、眠くなる。
「眠いですか」
それに気づいたのか、西さんが遠慮がちにたずねてきた。
「少し」
「寝ますか」
「はい」
「大丈夫です、もうしないですし」
おれは居間のソファで眠らせてもらうことになった。
「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
西さんはそう言うと寝室へと消えていった。
おれはソファに寝転んで、目を閉じた。
眠いのに、なかなか寝付けない。
西さんは何を考えているだろう。
傷つけてしまっただろうか。
おれにも非はある。
どうすることが良かったのだろう。
思考はそこをぐるぐる回っていた。
おれは立ち上がり、寝室の前まで歩いていった。
ノックして、もし西さんが眠っているようであれば、そのままおれも眠ろう。
小さく、2回、コンコンとノックする。
返事は、無い。
ドアから離れ、ソファに戻ろうとした時、ふいにドアが開いた。
西さんが立っていて、目が合う。
「あの」
おれは口ごもりながら、続ける。
「そっちで、一緒に寝てもいいですか」
西さんは驚いたように目を開け、そして、はい、と承諾した。
寝室に入り、一緒のベッドに入る。
西さんの体温が残っていて、温かい。
シングルベッドのため、嫌でも身体がくっつく。
手と手があたる。
指を絡めてみる。
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