大晦日

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「西さんってタバコ吸いますっけ?」 「あ、ぼくは吸わないですけど、もし吸いたかったらどうぞ」 「じゃあお言葉に甘えて」 それぞれコーヒーを注文して、喫煙席に向かう。 「今はもう会社お休みですか?」 おれが聞くと、 「ええ、ぼくのとこをはもう休みに入っています」 「やっぱり正月休みがあるのっていいですね、羨ましいです」 西さんは恐縮したように、 「あ、すいません、仕事なさっているのに」 「いえいえ、いいんですよ、こういう仕事を選んだのは自分ですし」 「あ、でも百貨店って元旦は休みなんですよ、だから一応ぼくたちスタッフも元旦だけは休みなんです」 おれが説明すると、あ、そういえば百貨店って元旦開いてないですよね、と言って笑った。 続けて西さんが、 「じゃあ元旦は何は予定あるんですか?」 「いえ、何も。毎年元旦は家でゆっくりテレビ見て過ごしているんです。今年はどこかに初詣いきたいなって思ってるんですけどね」 「彼女さんとか、お付き合いされてる方と一緒に?」 「ぼくこの年でそういう人いないんですよ、だから一人でぶらーっとどこか行ってみようかなって」 西さんは少し考える素振りをしてから、 「もし良ければ、一緒に初詣行きませんか」 「お、いいですね、西さんが良ければ是非」 西さんは照れるように笑い、じゃあ決定ですね、と言った。 「西さんって今おいくつでしたっけ?」 「あ、ぼく今年で26です」 「そうなんですか、ぼくの2つ上ですね」 「じゃあ厄年なんですね」 「え、24って厄年なんですか?」 「そうですよ、男は数え年で25、つまり24歳が厄年です」 「知らなかったです」 「初詣で厄払いしてきましょう」 「そうですね、せめて後厄くらい払ってきましょう」
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