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別段望まずとも、
今日という隔たりは越え明日は私の意思の届かない場所で開き続けてきた。
スパイラルする日常は凡庸ながらに充実し、私は今日という日に別れを告げるのだ。
私は、超高層住宅の一室に設けられたベランダの柵に凭れ掛かり、重そうな瞼をしばたたかせながら透明なグラスを揺らしている。
赤みのかかっていた空は、次第に紫へと色を変え、まさに群青を迎えようとしていた。
一日のほぼを終わらせ、学舎から帰宅した後に此処でこうするのがいつしか日課になっていた。
独りの時間は落ち着くものだ、街の雑多や喧騒はこの高さでは何もかも自分の中の尊ばしい夕景に変わる。
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