いつもと同じ

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「ぁ…は、華鬼姫(ハナキヒ)!」 掠れたような叫び声を上げながら部屋から逃げていった。 華鬼姫、と呼ばれた少女。 男が逃げて行ったのをみてから、刀を一振りし鞘に納める。 その時、また部屋にやってきた人がいた。 「珠華(コトカ)。 一人取り逃がしたのだけれど。」 やってきたのは長い髪を少し乱したスーツの女性。 「外。 ここを見てしまった。 殺れ。」 その言葉には、何の感情の起伏も感じられない。 「わかった。 他の始末は既に終わってる。 処理は別の班に任せるから帰っていて。」 「わかった。早くいけ。」 女性は答えず、男が逃げた方へ走って行った。 少女は凄惨な光景を背にし去っていった。 そんな彼女には、果たして感情と呼べるものがあるのか。 そう思ってしまう。 なぜなら。 この建物を後にするのに通った廊下には十数の体が転がっていたのに、彼女は悠然と歩いていったから。
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