靄(モヤ)

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今日は連休最後の日。 嬉しいことに今日は部長と夕飯を一緒に食べられる。 食べた後はアパートに送ってもらう予定なんだけど。 夕飯を作るのに、部長も一緒にキッチンに立つ。 私のお手伝いをしてくれつつも、たまに、キスをくれたり…抱き締めてくれたり…ちょっと困る。 「もう、秀一さん!」 だけど、そう言いながら、それが嬉しくて全て受け入れてしまう私。 今日はジャガイモの冷たいポタージュスープと鶏肉のハーブ焼き、洋風白和えとサラダにした。 部長はいつも通り「美味しい」をたくさん言ってくれて、私は母の請売りを思い出していた。 夕飯を済まして、片付けをしていると、ソファにいた部長が私を呼んだ。 「ゆい。電話みたいだぞ。」 私は水道を止めて、携帯の置いてあるリビングのテーブルに足を向けた。 テーブルの上で震える携帯を取り上げてその表示を確認する。 その瞬間、 心臓を掴まれたみたいに胸の奥が縮む。 表示は  桐野 要。 ヨウちゃんだった。 震える携帯を手にしたまま、部長をゆっくりと見た。 部長は黙って頷いて、私の頭に手を置いてから、席を外そうとしていた。 私は、離れようとする部長のTシャツの裾をギュッと掴み、部長を引きとめた。 通話のボタンを押した時には 部長は私の手を握りしめてくれていた。
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