靄(モヤ)

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ヨウちゃんとの電話中、部長はずっと私の手を握っていてくれた。 きっと、すぐ側にいる部長にはヨウちゃんの言葉が聞こえたんだろう。 途中、部長の手に力がこもった瞬間があった。 電話が終わると、部長は黙って私を引きよせた。 今にも手から携帯電話がすり抜けそうになりながら、私は部長の胸で涙を拭いた。 意外にも、 涙はすぐに止まった。 ヨウちゃんはやりたいことがみつかったと言っていた。 前を向いたヨウちゃんを心から応援したかった。 涙はすぐに止まったのに、 部長がまた、私を泣かす。 「ゆい。俺が必ず幸せにする。ゆいにも、…アイツにも約束するよ。」 携帯を持ったまま部長の背中に腕を回す。 「…せっかく、泣き止んだのに。」 私は部長の温もりを感じながら その胸の中で涙を拭いた。
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