2141人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日。
土曜日。
私たち経理部メンバーは休日出勤。
今日明日が出勤予定。
部長と私は定時までの仕事を終えた後、営業部の打ち上げに行くつもりで私は着替えを持参。
社内全体は静かだけれど、経理部だけは通常と何も変わらない。
電話が少ないのと、私の来客対応がないことで、いつもよりハイペースで仕事がはかどる。
けれど、休日出勤独特の少しだけ緩い空気の中でたまに雑談したりして。
休日出勤のご褒美にそれくらいは少しなら許されるよね?
定時まではあっという間だった。
目標通りの仕事量もこなせて、ほどよい充実感を得ていた。
仕事を切り上げ、他の二人と別れる。
ロッカー室で着替えをしてから部長と合流した。
今日はベージュのクロップト丈のロールアップのパンツに黒のTシャツ。袖の部分がちょっとデザインがかってて、背中の上の部分が小さくハート型に切り取られてる。その小さなハート型から肌が覗く、お気に入りのTシャツ。ネックレスも付けた。
「部長!お待たせしました。」
部長に駆け寄ると、部長が一二歩歩み寄ってくれる。
「ん。可愛い。」
社内なのに"秀一さん"の言葉にドキドキしてしまう。
部長はそのままの格好。
今日は元々ラフなシャツを着ていた。
会場となるお店には歩いて向かう。
お店まではほんの少しデートみたいな気分だ。
でも、もしかしたら、会社の誰かに会うかもしれなくて、手を繋ぐのを躊躇した。
一緒の会場に向かう営業のメンバーにも合うかもしれない。
けれど、
部長から自然に伸ばされたその手を
私はそっと握った。
最初のコメントを投稿しよう!