靄(モヤ)

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他のお客さんに気を使わなくていい分、その盛り上がりはすごかった。 もちろん、 今日の打ち上げの中心はチームリーダーの成瀬さんだった。 「成瀬さん、今回の件で、会社内でだいぶ株、上がりましたよね!?結構、女子の間で人気上がっちゃってますよ!!」 同じチームの武田ちゃんだった。 「あ、そうそう。この前、企画部の可愛い子に何か言われてなかったーー!?あの子、顔赤かったけど、もしや告白!?キャー!!」 「キャー!!」 「キャー!!」 女子が盛り上がる。 私は無意識に美咲に目を向けた。 美咲にも聞こえたはず。 美咲は私と目を合わせると、 「ゆい!!このピザ美味しいよ!」 と声を掛けてきたけれど、その表情が少しだけ寂しそうだったのに気付いてしまった。 私はピザを手に取り、大き目に口を開けてそれを頬張った。 「ホント!美味しい!!」 私の言葉にも美咲はどこか寂しそうに笑った。
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