靄(モヤ)

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おい。おい。 うるせーな。 「キャー!!」 「成瀬さん、やるー!!」 周りの女どもが騒ぎだした。 酔っぱらってるから余計にタチが悪い。 つい先日。 それは本当に、 告白というやつだった。 「付き合ってもらえませんか?」 見た目は可愛い部類だろう。 しおらしい言葉に、はにかんだ笑顔。 上目使いに俺を見つめ、潤んだ瞳で返事を待っていた。 「ごめん。」 何の迷いもなく答えた。 「付き合ってる人、いるんですか?」 「別にいないけど。」 「じゃあ…。」 「気になるヤツがいるから。スゲー変なヤツだけど、俺、そいつがいいわ。」 彼女がどんな顔してるかなんて見なかった。 俺はその変なヤツの顔だけを思い出していた。
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