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少女の遊戯
とある屋敷に少女が二人。
血の繋がりと云うものは御座いませんが、顔立ちは共に美しくとても仲の良い『姉妹』。
年の頃は姉娘の方は十六、妹娘は十五といった処。
いつも一緒で何事かを囁き合い、笑う姿は使用人たちの心を和ませる光景で御座います。
さて、ここに一人の若者が。
庭師の父親の手伝いに、屋敷に訪れていたので御座います。
つい数日前に初めて屋敷に訪れた時、一目見て少女達に心奪われた大勢の内の一人で御座います。
日も傾き始め、今日の仕事は此処までと帰り支度をしていた時、商売道具の鋏を何処ぞに置き忘れてしまった事に気付き、舞い戻ったので御座います。
何処だ、其処かと探している内に漸く木の根元に鋏を見つけた時、耳を掠めた笑い声にはっとした様に顔を上げました。
其処にはほんの少し開かれた窓があり、其処から漏れて来た声で御座いました。
笑い声の主はあの美しい少女達に違いありません。
若者はその窓の中の少女達を覗き見たい衝動に駆られたので御座いますが、父親が自分を鋏を手に戻るのを、今か今かと待っているのが判っていましたし、何より少女達の声を帰り際に聞けただけでも良し、とその場を立ち去ろうと二、三歩足を進めましたその時。
「……あ……っ」
妙に艶めかしい声が若者の耳に届き、そこで足を止めました。
「お姉……さま……ぁ」
妹娘の声で御座います。
四方や、姉妹で淫らな遊戯を……?と思うと、足が勝手にふらふらと窓へと近付いて行ってしまいます。
イケナイコトだと思いつつも、音を立てぬようにそぉっと、こっそりと窓から部屋の中を覗いてしまったので御座います。
妹娘は、白い肌も露わに姉娘にしがみつくようにして、息も絶え絶えに声を漏らしております。
……え?
若者は、目を数回、瞬きを繰り返しました。
ゴシゴシと、少々汚れた手で、目を擦りましたが、ソレはやはり、見間違いでは御座いません。
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