零日目

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しばらく歩いていると少女は自分の異変に気づく。 まず、少年に繋がれた手が動かないのだ。確かに少女は疲弊していたが、いくら幼いとはいえ、動かなくなるのはおかしいはずだ。 そして異変はもうひとつ。息が苦しい。喉が締めつけられるようだ。と少女は思った。さっきまで普通に出来ていたはずの呼吸がし辛くなっているのだ。 少年は何も話さない。ただ黙々と少女の指差した方へ歩いている。少女を引き摺るようにして。当然幼い少女は懸命に歩くのだが今少女の身には異変が起きている。まず小さな体で普通に歩くことは叶わない。 「あっ」 そしてついに躓き転んでしまった。 そのまま再び座り込む少女。 「どうしたの?」 少年は少女の手を握ったまま尋ねた。 「疲れた」 幼い少女はもう動きたくない。とその手を離そうとするが少女の小さな手は動かない。 「……しょうがない」 すると少年は手を離した。
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