零日目

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「ここで喰ってしまおうか」 少年の体が蠢き何か得体のしれないものへと変わる。 「っ!?」 幼い少女は自分の身に危険が迫っていたことに今更気づき、戦慄し、恐怖を感じた。 『早く逃げなければ』 そう思い、少女は重い足を動かし逃げようと試みる。 「どこへ行くんだい?」 だが少年だったナニカが少女の逃走を許す筈もなく。伸びてきた舌に絡め取られる。 「ごめんね。別に君じゃないといけないとか、そんなんじゃないから」 声は至って穏やかだが、その目は鋭く少女の目を見つめ、暴れようとする少女をその空間に縫い止める。 少女は死を覚悟した。こんな状況じゃまず普通の人はこれない。両親も、きっと見つけられない。少女は孤独に浸され侵されながら死ぬのだ。 「それじゃ、いただきます」 舌が口の中に吸い込まれていく。諦めた少女は、その口が少女より小さいのを見て噛み砕かれるのか。痛いだろうな。と何故か冷静にそう思った。どうせ助からないのだ。 幼い少女はその小さな体で絶望を知った。
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