2人が本棚に入れています
本棚に追加
「なーにやってんだ?」
まさに少女が少年によって噛み砕かれようとしたその時、第三者が声をかけた。
「その子、生きてるんじゃないのか?」
少女は硬直しているため動けないが、声から察するに青年のようだ。
「……誰だよあんた」
少年は食事を邪魔されたことに対する苛立ちを込め、青年がいるであろう方向を睨む。
「あんたらの嫌いな四元素(エレメンツ)だよ」
四元素。青年はそう言った。当然少女にはそれが意味するものは理解できない。
「散歩してたらよくないものを見つけたから声をかけたんだよ」
どうやら希望が見えたようだ。と少女は思った。
「あんたも、無駄に死にたくはねぇだろ?」
「……ちっ。わーったよ」
少年は舌打ちすると少女を解放し、闇へと消え去った。
「大丈夫かい?」
青年が少女に声をかける。やっと硬直も解けた少女は青年の方を向く。
そこには赤い髪で両目のところに黒く縦にペイントの入った青年がいた。しかも大きな鎌を持っている。
「……」
またか。少女はそう思った。今度こそ死ぬんだろうなと。だがすでに限界の少女の足は動かない。
「あまり大丈夫じゃないみたいだね。まあそんな小さい体じゃ無理もないか」
そう言うと青年は鎌をどこかへしまい込み少女を抱き上げた。その青年の腕に抱かれると少女は何故か安心感を覚えた。
「少し、眠りな」
そしてそのまま眠ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!