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少女が暮らしているのはワンルームマンション。家賃もそこそこなので少女一人だとバイトで入るお金だけでは賄えない。しかし親と殆ど縁を切ったような状態の少女にも味方はいた。
「あ、メールだ」
そう。幼少期からずっと少女の世話をしていた巫女だ。彼女は少女の親に内緒で毎月の家賃分を支払っているのだ。
『件名:無題
本文:お元気ですか。此方は変わりなく過ごしています。そろそろ夏休みですね。桜花様も、くれぐれもお体を壊さないよう。またお便りをお待ちしています。
追伸:夏の夜は霊も力をつけます。以前のように引き込まれることのないよう、お気をつけください』
彼女は少女が生まれたときからずっと少女の面倒を見ている。そして少女の両親より少女を優先する程仲がいい。
「相変わらずサッちゃんは丁寧すぎる文だなぁ。えーと……」
返信して携帯を置く。
「霊かぁ……もう十年は経つのかな」
あの日以来彼女には霊感が芽生えていた。彼女自身夏の夜は特に霊を見かける。あの日のように引き込まれるようなことは今のところ起きていない。
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