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「…ワタシノ マホウハ アクムユライノモノダ ケツラクナドナイ。」
「ふぅん、分からないかい。あんたも魔法使うんなら分かってくれると思ったんだけどね、残念だよ。」
「スマナイ。」
「謝罪より回答が欲しいんだけど。」
「ギ?」
「そんな完璧なあんたがなんでこんな欠落魔法だらけの図書館なんかに来たんだい?ってこと。
魔道書達の欠落箇所を一つ一つ見つけては笑いに来たってなら、うるさそうだし余所でやってもらいたいんだけどね…」
「ソウジャナイ。
モノガタリガ スキナラ マクラノゾクノ ブンメイガ キエタリユウモ シッテイルダロウト オモッテナ。」
「あぁ…これのこと?」
カメックが杖を振ると、今度は本棚を埋めている本数冊が突如意志を持ったかのようにカメックとアックームの周りに集まった。マクラノ島伝記、それらの本には共通してその題が表紙に記されていた。
「木の股から出てきたみたいなあんたがダークストーンを盗んでマクラノ族とドンパチやらかしたんだっけあんたは。」
「カメックモ…ソウ オモウノダナ。」
「当然でしょ、本に書いてあったんたから。それが現実とあっていようが間違っていようが関係ないの。なぜなら、歴史書や伝記に新聞、とにかくこの類の本があたしの世界だからね、何か文句ある?」
「ギ…ソレハ オカシクナイカ?」
マクラノ島伝記がカメックの周りをぐるぐると回っている様は、カメックがその伝記の知識の何もかもを分かり切っているかのようにも、またカメックがその本の内容に束縛されているようにも見える。
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