0人が本棚に入れています
本棚に追加
「話はそれで終わりかい?」
アックームの話が終わった頃には、カメックが開いている本もすでに終盤を迎えていた。その本から目をそらして彼を見たカメックの目は、最初と少し変わったように見えた。
干渉したことを後悔するような目、何かを悔しがるような目、悔しがっている、そうだとしたら何に対して――
目は口ほどに物を言うとはよく聞くが、所詮眼球とまぶたの具合で読み取るものなど口には遠く及ばない。その為アックームにはこんなにも曖昧な推測しか出来ないでいた。
「オワリダ ワタシハ ソコマデ イイヤツニハ ナレナカッタ…ギ。」
「ふぅん…それって何?自己陶酔のつもりかい?それとも同情誘って取り入ってもらおうとでも思ってるのかい?」
「ギ!?」
「いいや、違うなら違うで別にいいんだけど。それが普通じゃないのかい?死より永遠に閉じ込められることを望むなんてよっぽどのタナトフォビアか不死身かだと思うんだけど、少なくともあたしは素直に受け入れる方が気持ち悪いと思うけどね。」
まさか自分の話にそのような感想が帰ってくるとは思わなかっただろう。
しかしそれがカメックらしく、だからこそアックームがこの話を誰かに話したくなった時、カメックを選んだのだと思われた。
しかしカメックは続けざまに言った。
「まぁ理由はなんだっていいけど、あたしに首輪と縄をつけれるのはこの世でクッパ様一人だけ。
あんたがクッパ様に何を思ってるか知らないけど、もしあんたがクッパ様に仇名すなら…まぁそれなりの覚悟をしてもらわないとね。」
「ギギ…ドウイウ…」
「あぁ、これは極論、あたしはそんな話しをされたところで、今のところあんたにあたしの話しをするつもりはないし、あたし個人であんたの味方になるつもりもないよ。もしあんたとクッパ様が対立した時、それがどんな時であろうとあたしはあんたの味方はしないからね…って程度に思っておいたらいいよ。
もしその時が来たとき、勝手にあんたがあたしの事を味方だと思い込んでたところで悲しい思いをするのはあんたなんだし覚えておいたら?」
「ソウカ…ワカッタ…カメックガ クッパヲ シタッテイルノナラ ソレモトウゼンダロウ。」
「物分かりがよくて助かったよ。」
カメックはアックームからひょいと目を逸らしていとも簡単に締めくくった。
最初のコメントを投稿しよう!