幻想怪物-ユメ ケモノ-

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アックームがカメックの考えを飲み込んだ後、次に浮かんだのは自分の話が終わった直後カメックが発した感想。それは彼の中で意外だったと同時にとても考えさせられる感想でもあったようで、しばらくの会話を遅延させた後、結論を述べた。 「シカシ リユウ トイウノハ…ワタシデモ ヨクワカラナイ…」 「分からないかい、ふぅん…」 「ドウジョウハ ホシクナカッタ ワラッテモ ホシクナカッタ シカシ ダレカニハ ハナシタカッタ…ギ ジコトウスイ…シタカッタノカト キカレルト ソンナキモ スルシ ソンナワケガナイキモ スル…」 「なるほどね… あたしはそんなこと思ったことないからわからないけど――」 話は一度中断され、また一冊の本が本棚からカメックの元へと飛んできた。その本には装飾もタイトルもなく、まるで読まれることを拒んでいるかのようだった。その本の意志を読み取ったのか、カメックはその本を開くことなく、ただ何も書いていない表紙を見つめながら続けた。 「子供は上手いこと言うよ。 ちょっと昔ね、変わった遊びをしてる子達を見つけたんだ。普通の子供はもちろん大人だってやらないであろう遊び。それを誰になじられようと不気味がられようとその子達は止めなかってね。 だからね、ちょっと聞いてみたんだよ。『何でそんな事をするのか』ってね。 そしたらその子達に笑われたよ。常識外した時みたいに手を叩いて笑われたよ。面白くないよね。 でも最後にはちゃんと教えてもらえたよ、『そうしたいから』だってさ。 拍子抜けしたよ、そりゃ笑うよね、常識みたいに簡単だったもの。 ほんと、上手いこと言うよ。」 「ソウシタイカラ…」 「その子達とあんたとは違うだろうけど、動機としちゃ上出来だと思うよ?」 「ソウ…ダナ。」 釈然としたのかしてないのか、アックームは思考が落ち着いてないながらもカメックを伝ってそのカメックの話の中に出てきた子供から貰った動機で納得することにした。
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