幻想怪物-ジョウホウ キロクニン-

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子供はこういう甘味に弱いのではと思ったアックームの浅はかな考えも、薄氷のごとく打ち砕かれ、手の上にある飴もどうしてよいかわからず、握りしめることしかできなかった。 そんなアックームを尻目に彼女は黙々と包装を開けていき、ホワイトチョコレートの甘い香りがほのかに漂った。しかし包装の解かれたわずかにクリーム色をおびた白いチョコレートを暫く見つめると、彼女はそれを持った手を上にあげ、アックームの前へと差し出した。 「よろしければどうぞ。」 「ギ…スマナイ……」 何かが違うとも思ったが、どうやら関心がないというわけでは無いことだけでも分かったアックームは素直にそれを受け取ることにした。彼女は早くももう一つのチョコレートの包装を剥がしている。緑色を基調とした包装紙の色、今度は抹茶味のチョコレートのようだ。 「ナマエハ ナントイウノダ?」 「これは失礼いたしました、私はブルーメと申します。」 「ブルーメ カ…オマエモ クッパノ テシタ ナノカ?」 「はい、主に情報屋を務めさせていただいております。」 「ソウカ…」 おおよそ子供らしくない言葉使いに豊富すぎる語彙、幼い見た目とは裏腹の大人以上に大人らしい態度、その理由の一切は情報屋であるからという理由で納得は行くのだろうが彼は何処か釈然としない様子だった。アックームはそこで話を一旦区切り、ブルーメも特に話す内容が無かったので彼に話しかけることはしない。再び二人の間には無言が漂っているのだが、先程までのような息苦しさを感じる無言とはまた少し違っていた。
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