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藤森がエプロン姿で悪戦苦闘する姿は可愛い以外の何ものでもなかった。
俺は藤森を監督するみたいに、その後ろで腕を組んでつっ立っていた。
「…やりにくいわ。」
「いざという時のストッパーだよ。俺の口に入るんだからな。しっかり見とかねーと。」
「そんな心配はご無用。テレビでも見てれば?」
「はあ?お前が来てんのに何でテレビなんか見なきゃなんねーんだよ?…こっちの方が面白そう。」
俺は藤森を背中から抱きしめた。
「ギャーーー!」
一瞬にして腕をほどく。
「何だよ!その反応は!?俺たち、もう付き合ってんだろ?」
「…あ、あ、そうだよね。…ごめん。…もう一回…して。」
…もう一回?
やり直しってありか?
こいつ、室井のこととやかく言っといて、実は自分もド天然なんじゃね?
…ま、可愛いけどな。
俺はもう一度、藤森の緊張した背中を抱いた。
藤森は前に回した俺の腕に力なく触れて、俺の腕の中でゆっくり振り返った。
…なんだよ。
素直になれるんじゃねーか。
そう思いながら
唇を重ねた。
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