消せない記憶

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私の心の呟きを悟ったのか 青海さんは諦めたように 肩をすくめた後、 ワイングラス越しに その言葉を囁いた。 「君を抱きたい」 ほらね。 やっぱりそうだ。 そう思いながら私は 小さく笑みを見せて 黙ったまま頷いた。 社内の男の誘いに 乗るのは初めてだけど。 きっと彼は私たちと同じ 人種だから問題ない。 そう思っていた。 彼に抱かれる瞬間までは。
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