消せない記憶

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会社に戻る電車の中、 窓の外をぼんやり見つめる 琉惺の横顔もあの頃のまま。 いつも遠くを見つめて 彼の瞳が私を見つめる事はない。 同じ過去を持つ同士。 私と琉惺が 心を取り戻す事なんて きっと…ないのだ。 「あ、そーだ。 社内では馴れ合いの口は 叩かないから。 奈緒もその方がいいだろ。 社内恋愛したいならさ」 思い出したように言った彼に 無性に感じる寂しさは その馴れ合いという関係に どこかで甘えている自分が いるからなのだと思う。
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