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『どいてーっ!』
「えっ……あべしっ!?」
大通りのど真ん中で立ち止まっていたからだろうか、後ろからドラゴンにでも体当たりされたかの如き衝撃が俺を吹き飛ばした。
三回転~十五回転しつつ、俺は無残な姿で地に伏し、ダイイングメッセージを残そうと必死に指を動かした。
”おっぱい”
違う! 間違えた!
ダイイングメッセージのつもりが、思春期特有の願望を書いてしまい、俺は慌てて地面を手の平で擦りまくる。
するとそこへ、あたかもアニメから抜け出てきたような……
魔法叔父さんがやってきた。
「だ、大丈夫? 怪我してなぁい?」
「や、あなたの頭が大丈夫?」
ふりふりの赤いドレスに身を包み、白いタイツをはいたまごう事無き魔法叔父さんは、俺に丸太の如き太い腕を伸ばした。
オーガですら一撃で葬りそうな腕に、俺は戦慄を覚えその場からダイナミックに後方へ跳ぶ。
着地と同時に地を蹴り、俺は路地裏へ一気に飛び込んで身を隠した。
大通りでは往来する人々をしりめに、魔法叔父さんが俺を必死に探している。
そして、誰も魔法叔父さんに違和感を抱いていないというね。
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