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先輩は黒い短髪のツンツンした髪型を褒められているのか、精悍な顔つきをこれでもかと緩めながらお姉さんと会話している。
もしや、あの二人……できているのか? リア充なのか?
こちとら16年間女っ気0だというのに。
やはり人間は滅ぼさなければなるまい――なんて、嫉妬丸出しの視線を向けていると、暫くして先輩が満面の笑みを浮かべつつ外へ出てきた。
「待たせたな。行くか」
「……ういーっす」
「どうした? 元気がないな?」
「いえ。少し考え事をしていたので」
「ほう。どんな?」
「えー……」
まさかリア充撲滅委員会を発足しようなんて言えない。
なので俺は、さも頭がよさげなことを語って誤魔化すことにした。
「実はですね、かねてより魔力における光属性の発射速度が特殊相対性理論に反すると考えていまして、ガウス平面上に存在する地点Aから地点Bへ1光年の速さで進んだ場合、到達時間は推定で5秒じゃないですか?
僕はですね、特殊相対性理論に要素αを追加することで説明が出来ると考えたんですよ。つまりですね、リア充死ね」
「……何だか小難しい事を考えているんだな」
「ええ。将来は学者になりたくて」
「そうかそうか。だがな……」
俺は難しい顔をした先輩をみて、この脳筋ヤローが! なんて胸のうちではドヤ顔をしていたんだ。
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