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直接目の前にいかなかったのは、竜が残っている場合を加味してである。
さすがにAランクともなれば抜け目なく、最善策を選んでいるらしい。
先輩は頭が良いしな。腹立つことに。
「さて……そろそろか」
「あれですか? あの切り立った崖」
「そうだ。こっからは慎重に……っ! 魔物だ!」
「あれまー」
やがて目的地に着こうかという段階で、三体の魔物が俺達の前に立ちはだかった。
灰色のまるで鉄を思わす毛並みが特徴的な、人の背丈を軽く上回る狼型の魔物。
”アイアンウルフ”である。
強さ的にはBの上。
ディアマットに山を追われ、この辺りを縄張りとしているという説もある。
まあ、どうでもいいけど。
「お前は下がってろ!」
先輩はイケメンな台詞を吐きだし、背負っていた大剣を地面と平行に構えながら、一気にアイアンウルフとの距離を詰めた。
大人しく下がった俺は、抹茶アイスに舌鼓をうちつつ観戦する。
「おー。先輩、やっぱつえー」
鋭く縦に振り下ろされた一閃は、硬いアイアンウルフの毛皮ごと左右に分断していた。
一撃で倒すあたり、ポテンシャルの高さが窺える。
まあ、俺ならデコピンで粉々に出来るけども。
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