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先輩が二体目を倒し終えた時、俺は丁度抹茶アイスがなくなったので、徐に足元に落ちていた手頃な石を拾い上げた。
これをどうするのか?
そう。背後から跳びかかるアイアンウルフに投げつけようという算段である。
先輩のピンチを救う俺って、凄いイケメンだと思う。
「先輩危ないっ!」
「――ッ!?」
高々と左足を上げ、流麗な動作から石を右手に持ち、大きく振りかぶって……投げる。
シュポッ、と、石はあまりの球速に一瞬で燃え尽きてしまった。
「……あれ?」
「セイッ!!」
投げ終わった俺はフォロースルーをきめた状態のまま、大剣を翻しアイアンウルフの胴を鮮やかに薙いだ先輩へ視線を移した。
わ、分かってたよ。うん。
先輩なら手助け無用ってな!
「ふう。……ん? どうした? ホームランを打たれたような顔をして」
「いえ……その……ナイスバッティング!!」
「??? あ、ありがとう」
可哀想な人間を見る目で俺を見たあと、先輩は大剣にこびり付いたアイアンウルフの血を拭き取って鞘に収めた。
そして、何事もなかったかのように歩き始めて数分後。
ついに竜の巣へ到着した。
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