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「雲は白いなー大きいなー♪」
あまりにも暇すぎて歌っていると、まるで俺の歌声に導かれ、眠りの世界に誘われたかのように太陽が雲の布団をかぶり、次第に雷鳴を響かせ始め、お漏らししたかのごとき雨を振らせ始める。
「OH……」
なんてこったい。傘がないぜ。
だがしかし。
「”アースウォール”」
頭上に石壁を生み出して、ちょっとした屋根代わりに雨をしのぐ。
アースウォールは土属性の魔法で、最も簡単な部類に位置している。
ちなみにだが、魔法は色々と属性があるけれど、基本的に全ての属性を使う事が出来るんだ。
魔力を変換させるだけなので、理屈を知っていれば造作もない。
まあ、俺の場合は何となくで出来ちゃうんだけどね。
ほら。天才だからさ。
そうして、ざあざあと降りしきる雨を見つめていたわけなんだけど、突然あたり一帯が薄暗くなったんだ。
一体何だこれは――と、屋根から身を覗かせて頭上を見上げると、四対の翼を器用に動かして着地態勢にはいっていた黒い竜が眼に入る。
鼻先から反り返った白銀の角があり、それはディアマットの特徴と酷似していた……っていうか、モロそれだな。
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