ホームレス魔王誕生

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 先輩の髪の毛を刈り尽くしたい気持ちをなんとか抑え込み、カードを受け取った俺は大事に大事に懐へ仕舞った。 「変わったやつだな。まあ、いいか。ともかく、ここには何の収穫もなかったし、早めに帰るとしよう」 「え? 最奥に鉱石がありそうなのに?」 「……なぜそんな事を知っている?」  思わず口を滑らせた。しかし、後悔しても既に遅い。 先輩は明らかに疑いの眼を向けていて、俺の頭は5千馬力で滑車を回しているかのごとくフル回転する。 「いや、自分学者志望っすから。鉱石にも詳しいっすから」 「なるほど。言われてみれば所々に煌く破片があるな」 「それに、ディアマットの巣だとしたら、魔力濃度の高い地形を好むので、上質な魔鉱石<マコウセキ>がある確率が高いかと」 「確かに……やるじゃないか!」 「いえいえ。ささっ。さくっと行きましょう」 「今日は良い酒が飲めそうだな。はっはっは!」  あっぶねええええ!  先輩は意気揚々とスコップやらを取り出して奥へ向かい、俺は胸を撫で下ろしたのちに追いかけた。
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