925人が本棚に入れています
本棚に追加
先輩の髪の毛を刈り尽くしたい気持ちをなんとか抑え込み、カードを受け取った俺は大事に大事に懐へ仕舞った。
「変わったやつだな。まあ、いいか。ともかく、ここには何の収穫もなかったし、早めに帰るとしよう」
「え? 最奥に鉱石がありそうなのに?」
「……なぜそんな事を知っている?」
思わず口を滑らせた。しかし、後悔しても既に遅い。
先輩は明らかに疑いの眼を向けていて、俺の頭は5千馬力で滑車を回しているかのごとくフル回転する。
「いや、自分学者志望っすから。鉱石にも詳しいっすから」
「なるほど。言われてみれば所々に煌く破片があるな」
「それに、ディアマットの巣だとしたら、魔力濃度の高い地形を好むので、上質な魔鉱石<マコウセキ>がある確率が高いかと」
「確かに……やるじゃないか!」
「いえいえ。ささっ。さくっと行きましょう」
「今日は良い酒が飲めそうだな。はっはっは!」
あっぶねええええ!
先輩は意気揚々とスコップやらを取り出して奥へ向かい、俺は胸を撫で下ろしたのちに追いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!