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「チッ……あれを避けたか」
ずぶり、と地面に突き刺さった剣先を持ちあげ、先輩は俺を睨みつけた。
「危ないなー」
「ガイル。一応訊いておこうか。……魔族だろう? お前」
「はて? 何のことやら?」
「俺の眼は節穴じゃない。変身魔法を使っているな? 魔力の波長でわかる。それに、ディアマットと俺が出てくるまで会話していたからな」
「そこでバレてたんすかー。先輩も人が悪いっすね」
「油断させて倒すつもりだったが……仕方がない」
「セコイっすね。セコイヤチョコレートっすね。先輩」
「何とでも言え。魔族の強さは身にしみているつもりだ」
先輩は大剣を正眼に構えなおすと、俺をまるで親の敵のごとく睨みつけた。
俺が一体何をしたというんだ。トイレを詰まらせただけじゃないか!
なんて、非難の声は聞く耳もたず。
「ハアッ!!」
一瞬で間を詰めた先輩は、上段から一直線に斬りおろした。
低級の魔族や、Aの中ぐらいの魔物なら一撃で体を二つに分けられていただろう。
だがしかし。
俺にとっては遅すぎる。
余裕過ぎてカップラーメン作れるわ。
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