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2:Declaration
少女は何者の下につくことも是としなかった。
自分が誰よりも正しいとか、なによりも絶対などと思い上がったことはなく、それでも何かの下にいることだけは良しとしなかった。
長々と続いているこの戦争にも辟易していた。
顔は知らないが、自分がここにいるからにはどこかにいるであろう、もしくはいたのであろう両親や祖父母や曾祖父母、それよりも遥か過去に生きていたであろう者たちの時代から続く、長い戦争。
国を治める国王と、神聖なる神を背負った法王との、長々と続く“くだらないケンカ”。
生まれてからその中に身を置き続けていた少女は苛々していたのだ。
“どうしてあたしが馬鹿のケンカに付き合わなければいけないのか”
幼い頃からずっとそう思い続け、そう口に出してはいつの間にかそばにいた少年に窘められていた。少年が少女に“それならお前はどうしたいんだ?”と苦笑交じりに訊ねると、少女は決まって口を尖らせて答えるのだ。
“あたしが両方ぶん殴れば、みんな黙って静かになるんじゃないの”
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