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どれだけの敵を斬り殺したのであろう。
もはや己の得物は、刃こぼれした一振りの長刀のみ。
レーダーを確認する。見方の識別信号は一つも確認できない。どうやら残ったのは龍矢ただ1人の様だった。
800M先に見えるのは、反応炉。
このハイヴの、メインコンピューターと言える程重要なもの。
そして、それを守るかの様に湧き出てくるBETA。
機体状況を確認。
左腕は肘から先がなくなっており、長刀を握る右腕も関節にかなり大きな負荷がかかっている。
頭部のセンサーも片側が折れており、脚部もいつまでもつのか分からない。
大破、と言える程龍矢の駆る不知火は傷ついていた。
「よく、ここまで俺についてきてくれたな。………ありがとう」
今の自分の相棒に、感謝の思いを伝える。
「ここまでこれたのも、お前のお陰だ。だから、後、あと少しでいい…………。俺に、力を貸してくれ、不知火ッ!!」
叫ぶと同時に唯一の武装である長刀を破棄。
そして、跳躍ユニットのリミッターを解除。ロケットブースターを全開にする。
群がるBETAをお構いなしに突き進む不知火は、今や一発の弾丸。
どれだけ脚を千切られようが、腕は喰われようが、速度を落とす事なく突き進む。
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