第01話 「始まり、始まり」

8/14
前へ
/16ページ
次へ
どれだけの敵を斬り殺したのであろう。 もはや己の得物は、刃こぼれした一振りの長刀のみ。 レーダーを確認する。見方の識別信号は一つも確認できない。どうやら残ったのは龍矢ただ1人の様だった。 800M先に見えるのは、反応炉。 このハイヴの、メインコンピューターと言える程重要なもの。 そして、それを守るかの様に湧き出てくるBETA。 機体状況を確認。 左腕は肘から先がなくなっており、長刀を握る右腕も関節にかなり大きな負荷がかかっている。 頭部のセンサーも片側が折れており、脚部もいつまでもつのか分からない。 大破、と言える程龍矢の駆る不知火は傷ついていた。 「よく、ここまで俺についてきてくれたな。………ありがとう」 今の自分の相棒に、感謝の思いを伝える。 「ここまでこれたのも、お前のお陰だ。だから、後、あと少しでいい…………。俺に、力を貸してくれ、不知火ッ!!」 叫ぶと同時に唯一の武装である長刀を破棄。 そして、跳躍ユニットのリミッターを解除。ロケットブースターを全開にする。 群がるBETAをお構いなしに突き進む不知火は、今や一発の弾丸。 どれだけ脚を千切られようが、腕は喰われようが、速度を落とす事なく突き進む。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加