歴女、KGに会う。

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 ――と。誰となしに質問したのだろうが……メイド達は揃って首を傾げる。 「あのお館様。温泉というのは一体……?」  これを言ったのは変態茶髪美脚美人副メイド長のエミリアである。 (この反応……やっぱりないのかっ? いや、諦めるのはまだ早い!)  と考えたリサは右手の人差し指を突き立て続ける。 「温泉てのは簡単に一言で言っちゃうと水じゃなくて代わりにお湯が地面から湧いている事、場所の事よ」 『ああ!』  ここで変態二人の声が揃う。そして―― 「それはもしや……腐った卵の様な臭いがする湯の事でしょうか?」  とイザベラが問えば、リサは瞳に温泉マークを浮かべ。 「そうよそれそれっ! あるのっ! あるのっ?」  と迫る。するとイザベラは屋敷の壁――適当な方向を指差し。 「それでしたら城下を出たすぐの山の麓に、その様な場所が……」 「わたくし達は水ではなく湯である事と、その臭いから誰も利用する事はなく、近付く者さえロクに居りませんでした」  イザベラにエミリアが続いた。これを聞いたリサは嘆かわしいといわんばかりに大きく首を左右に振る。 「かぁ~~~勿体無い! けど、いい事聞いたわ。それってつまりこの世界じゃ何処にもまだ温泉がないってゆーか……入浴どころか何にも利用してないって事よね?」 「恐らく……」 「……かと?」 「OKOK! こりゃ一石二鳥のいい事思いついちゃった……さっそくジュリアスに掛け合わなきゃ――って事で、キリスト呼んできてくれる?」  意気揚々とメイド達に問うリサだが、アリベルを含めた全員が静かに首を振り。 「お館様。キリスト君でしたらとっくに登城していますが?」  と代表してイザベラが告げた。  途端に両手で頭を掻きむしるリサ。 「あぁもぅ! 何でこんな大事な時にアイツは登城してんのよっ!」 ((それは自分で決めた事では?))  全く以てその通り。……そうとしか言い様がないツッコミを内心で入れるメイド二人であった。 「じゃーもーいいわ。キリストが帰ってくるまでに先に下見に行きましょ。イザベラとエミリアは付いてきて、それとジャックも呼んできてちょうだい」 『かしこまりました』  揃って丁寧に頭を下げるイザベラにエミリア。  こうしてジャックを加えた四人は温泉の下見へと赴くのである。
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