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名外交官など度外視。自分らしさを優先させたと言い張るところが如何にもこの少年らしいところである。こう言われてしまっては舌を巻かざるを得ないリサであったが、余程口惜しかったのかギリギリと歯ぎしりまでして――
「糸目小僧なだけに金に糸目は付けませんってか……。ホンッッット屁理屈こねる頭のキレだけはムカツクくらい優秀なヤツねっ!」
と褒めているのか貶しているのかわからない反論をするが、キリスト自身は褒め言葉と受け取ったのだろう。その糸の様な目は緩やかなラインを描き、二人の会話を聴き続けていたジュリアスは――
(本当にこの二人は流石だな……)
と穏やかな笑みを浮かべていた。
――こうしてアントリオンのニークトーリ征伐は無事成功し、アントリオンは初の領土回復という快挙を果たす。そしてこの時点では誰も口にはしていなかったが――。
リサが居るため頭の上がらないヨーロッパ(というかディアル)。完全属国のレッドフォード。そして今回のニークトーリ。この三国と残っていたアントリオンを併せた領土こそがアントリオン建国時の大きさであり、リサは完全とは言い切れないが分裂した旧アントリオン統一を成し遂げたのである。
――第四章に続く。
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