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町の中心部へとたどり着いた。
そこには大勢の人だかりがあった。
その円の中心にあの青年がいた。
青年の周りに居る人たちは大半が女性だった。それも20代のOLらしき女性や子供、明らかに還暦を迎えているであろう老婆など、色々な系統の人々が集まっていた。
「はは。困ったな。力が強すぎたか」青年は困ったような笑みを浮かべながら、そう呟いた。
「親父なのか!?」
気がついたら、その円の方に向かって叫んでいた。
青年はこちらに振り向くと、一瞬だけ驚いた表情になった。それから少し間があって、何かを考えるような顔をした。
「ごめんね。今日はちょっと彼と約束があるんだ。」
女性たちは残念そうに青年の周りからぞろぞろと立ち去っていった。
青年はこちらに向かってきて、「ついて来て」とそう言った。
僕はただ黙ってついていった。
僕たちは近くにあるみすぼらしい古びた喫茶店へと入っていった。
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