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その日、私が帰ったのも12時近かったたけれど部長はまだ帰っていなかった。
私は先にお風呂に入り、眠い目をこすりながら、美月さんのことをどうしても話したくて部長を待っていた。
玄関でガチャリと音が鳴る。
スリッパを履き直して、玄関に急いだ。
「おかえりなさい。」
「ただいま。」
「お風呂入りますか?」
「ああ、先に行ってくる。」
部長はそのままお風呂場に入り、私は部長のスーツを片付けた。
遅くなったので、そのまま二人でベッドに入った。
部長の手が伸びてくるのを遮って、逆に私がその腕を掴む。そしてそのまま美月さんの入籍のこと、赤ちゃんのことを話した。
「…赤ん坊が…?」
肘をついて横向きに私の方を向いた部長の顔を見上げながら頷いた。
「…美月さん、幸せそうでしたよ。」
「…そうか。」
「来週の土曜は秀一さんも含めて森田部長のご両親と挨拶ですって。それで、日曜日にはみんなを呼んで6人でここでお祝いしようと思って。…いいですよね?」
「あ、ああ、ゆいは大丈夫か?大変じゃないのか?」
「大丈夫ですよ!美咲も手伝ってくれるし。…美月さんに食べられるのが緊張しますけどね。」
「…ゆい。ありがとう。」
「秀…一さん…。」
部長の優しい目は
お姉さんを思う、弟の目だった。
そんな優しさが嬉しくて、私も大胆な言葉で返してしまう。
「…将来のお姉さんのためですから。」
部長は目を細めて私の鼻先を人差し指で小さく撫でた。
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