小さな奇跡

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そして、私たちは楽しみだった週末を迎える。 土曜日。 部長は予定通り、美月さんと一緒に森田部長のご両親との顔合わせに出掛けた。 私はその間に家事、掃除。 部長のシャツも自分のブラウスもそれぞれアイロンを掛けた。二人分を掛けると…結構な労力。 明日の買い物リストを作ったり、大好きなミステリーを美味しい紅茶を飲みながら読み進めて、自分の時間も満喫した。 夕方帰宅した部長は、お土産にケーキを買って来てくれた。 その小さな白い箱を受け取る瞬間にも幸せを感じてしまう。 「…どうでしたか?」 「ああ、森田の親御さんだ、豪快で明るい人たちだった。…姉貴のことも…大事にしてくれるだろ。」 「…良かったですね。お疲れさまでした。お昼は和食?洋食でしたか?」 「和食。」 「じゃあ、今日はパスタにしようかな?冷蔵庫にある物で。」 「ゆいのあり合わせ料理好きだな。楽しみだ。」 部長はそう言いながら着替えるために寝室に入っていった。 私はケーキを冷蔵庫に仕舞い、コーヒーを入れた。 夕飯を食べながら明日のみんなでの食事のことを相談した。 お昼の後に美咲と成瀬さんを駅で迎えて4人で買い物に出掛かることにした。 「…明日。楽しみですね。」 「ああ、そうだな。」 部長の笑顔は柔らかかった。 明日、 みんなでここに集まる時は、 美月さんは "森田 美月"になっている。
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