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長いことお鍋を囲んだ後、一度片付けをしてみんなでリビングに移った。
男性陣はそのままお酒。私たち女性陣はデザートにした。
「うーん!美味しいー!!」
「ホント、やっぱ別腹だわ。」
「ホント、美味しいわね。」
私たちの会話は尽きない。
「…赤ちゃん、男の子かな?女の子かな?」
美咲のその言葉に誰よりも早く反応したのは私だった。
「女の子!!」
「…ふふ。どっちかしらね?女の子?」
「…私は女の子な気がします。」
…根拠はない。
すると、美月さんの笑顔に一層優しさが増して、こう言った。
「…女の子だったら…ゆいちゃんみたいに優しくて…、美咲ちゃんみたいに素直な子になるといいな。」
「…え…。」
そう声を漏らしたのは美咲だった。
美月さんが不思議そうに美咲に顔を向けた。
「…私が…素直?」
「…そうよ。美咲ちゃん、すごく素直だと思うな。…言葉はたまに反対方向向いちゃうこともあるのよ。でも、美咲ちゃん自身はとっても素直よ。」
美咲の目が涙で滲んでいく。
明るい席で涙を見せまいとそれを必死で抑えようとする美咲。
その時、成瀬さんが立ち上がり美咲の側まで来ると、小さな子供にするみたいに、美咲の頭を髪をグシャグシャにしながら大きく撫でた。
「…そういうこと。…美月さん、見る目ありますね。」
そう言ってから
「トイレ。」
成瀬さんは行ってしまった。
美咲は大粒の涙を流した後、すぐにいつも以上の笑顔を見せた。
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